藤沢市議会基本条例

藤沢市議会基本条例

制定:平成25年2月28日 条例第34号

目次

前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第3条-第5条)
第3章 議会運営の原則等(第6条・第7条)
第4章 市民と議会との関係(第8条-第10条)
第5章 議会と市長等との関係(第11条-第14条)
第6章 議会機能の強化(第15条-第18条)
第7章 議員の政治倫理(第19条)
第8章 議会事務局等の体制整備(第20条・第21条)
第9章 最高規範性及び見直し手続(第22条・第23条)
附則

 市民により選ばれた議員で構成される議会は,同じく市民により選ばれた市長とともに,二元代表制のもと,市民代表として市民の負託に応える重要な役割と責任を担っている。また,地方分権の時代にあって,地方公共団体の自己決定権や責任の範囲が拡大する中,その果たすべき役割や責任はますます大きくなっており,議会は合議制の機関として,市民の意思を的確に捉え市政に反映させなければならない。

 議会は,その市民の負託に応えるため,市長等執行機関との立場や権能の違いを踏まえ,常に緊張関係を保ちながら,事務執行への監視機能の強化を図るとともに,政策立案及び政策提言機能等を十分に発揮することが必要である。

 藤沢市議会は,こうした状況を踏まえ,常に時代に対応した地方分権を先導する議会を目指して,一層の議会改革に取り組むとともに,公正性,透明性及び独自性を確保する中,より市民に開かれた議会運営を推進することにより,市民の負託に応えるべく,ここに藤沢市議会基本条例を制定する。

第1章 総則

(目的)
第1条 この条例は,藤沢市議会(以下「議会」という。)の基本理念,議員の責務及び活動原則,議会運営の原則,市民や市長その他の執行機関(以下「市長等」という。)との関係等,二元代表制のもとでの議会の役割を明確にするとともに,議会に関する基本的事項を定め,市民にわかりやすい開かれた議会を実現することにより,市民の負託に応え,もって市民福祉の向上に寄与することを目的とする。

(基本理念)
第2条 議会は,市民の意思を市政に反映させるため,市民の多様な意見を的確に把握するとともに,市政における最高の意思決定機関として,公正かつ適正な議論を尽くし,真の地方自治の実現に取り組むものとする。

第2章 議会及び議員の活動原則

(議会の活動原則)
第3条 議会は,市長等執行機関の事務執行について,公平性,透明性及び信頼性の観点から,適切に監視し,評価を行うものとする。

2 議会活動及び市政に関する情報を積極的に公開し,市民に開かれた議会運営を行うものとする。

3 市民の多様な意見を把握して,市政に反映させるための政策立案及び政策提言に積極的に取り組むものとする。

4 市民にわかりやすい議会運営を行うために,この条例のほか,藤沢市議会会議規則(平成15年藤沢市議会規則第1号),藤沢市議会委員会条例(平成15年藤沢市条例第40号)及び議会内での申し合わせ事項等を継続的に見直すものとする。

(議員の活動原則)
第4条 議員は,議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分認識し,自由闊達な討議に努めるものとする。

2 議員は,市政全般の課題について,市民の意思を的確に把握するとともに,一部団体又は地域にとらわれず,市民全体の福祉の向上に努めるものとする。

3 議員は,不断の研鑽と日常の政務調査活動を通じて,自らの資質の向上に努め,市民の代表としてふさわしい活動をしなければならない。

4 議員は,議会活動について,市民に対して積極的に説明するものとする。

(会派)
第5条 議員は,議会活動を行うため,会派を結成することができる。

2 会派は,政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成し,活動する。

3 会派は,政策立案,政策決定,政策提言等に関し,必要に応じ会派間で調整を行い,合意形成に努めるものとする。

第3章 議会運営の原則等

(議会運営の原則)
第6条 議会は,言論の府として議員の発言を保障し,かつ,議員相互間の討議等により,活発な議論が行えるように努めなければならない。

2 議会は,その機能が十分に発揮されるよう,円滑かつ効率的な運営に努めなければならない。

3 議会運営委員会,常任委員会及び特別委員会(以下「委員会等」という。)は,市政の課題に対応して機動的に開催し,それぞれの設置目的に応じた機能が十分に発揮されるよう運営しなければならない。

4 議長及び副議長の選出は立候補制とし,立候補する議員は,選挙に先立って所信表明を行うものとする。

(議会の説明責任)
第7条 議会は,議会運営,政策立案,政策決定,政策提言等に関し,市民に対して積極的に説明するものとする。

第4章 市民と議会との関係

(市民の議会への参画)
第8条 議会は,請願及び陳情を市民による政策提案と位置づけるとともに,その審議においては,これらの提案者の意見を聴く機会を設けなければならない。

2 議会は,委員会等において,参考人制度及び公聴会制度を活用して,市民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。

(広報広聴機能の充実)
第9条 議会は,市民に対し議会活動に関する情報を積極的に公表し,議会に対する市民の意思の把握及び意見を交換する場として議会報告会を開催するものとする。

2 議会は,広報広聴機能の充実を図るため,議員で構成する広報広聴委員会を設置する。

(情報の公開)
第10条 議会は,議会の役割,責任を明らかにするため,藤沢市情報公開条例(平成13年藤沢市条例第3号)との整合を図りつつ,保有する議会活動に関する情報公開を図るものとする。

第5章 議会と市長等との関係

(市長等との関係等)
第11条 議会は,二元代表制のもと,市長等との立場及び権能の違いを踏まえ,常に緊張感のある関係を構築するよう努めなければならない。

2 本会議における一般質問及び委員会等における質疑応答は,一括質問のほか,広く市政上の論点及び争点を明確にするため,一問一答による質疑方式が選択できる。

3 市長等は,本会議及び委員会において,議長又は委員長の許可を得て,議案に対する質疑又は一般質問に対し,反問することができる。

(市長による政策提案の説明責任)
第12条 議会は,市長が提案する計画,施策,事業等について,議会での審議における論点情報を形成し,政策等に対する審議水準を高めるため,市長に対して,次に掲げる事項の説明に努めるよう求めるものとする。

(1)施策等を必要とする背景
(2)提案に至るまでの経緯
(3)市民参加の実施の有無とその内容
(4)市の策定する計画や条例との整合性
(5)財源措置
(6)将来にわたる効果及び費用

(予算及び決算における施策説明資料の作成)
第13条 議会は,市長が予算案及び決算を議会に提出し,議会の審査に付すにあたっては,前条の規定に準じて,施策別又は事業別のわかりやすい説明資料の作成に努めるよう,市長に対し求めるものとする。

(議決事件の追加)
第14条 議会は,議決機関としての機能強化のため,地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項の規定により積極的に議決事件の追加を検討するものとする。

第6章 議会機能の強化

(政策の立案及び提言)
第15条 議会は,市の政策水準の向上を図るため,政策立案機能の強化に努め,条例の提案,議案の修正及び決議等の政策提案に取り組み,市長等に対し積極的に政策提言を行うものとする。

(議員間討議)
第16条 議会は,議員による討論の場であることを認識し,議員相互間の討議を中心とした運営に努めるものとする。

2 議会は,市長提出の議案及び請願・陳情等の市民提案に関して審議し結論を出す場合,議員相互間において十分な討論,議論を尽くして合意形成に努めるとともに,その結果について,市民に対して説明責任を果たさなければならない。

(研修及び調査研究)
第17条 議会は,議員の資質並びに政策形成及び立案能力の向上を図るため,議員研修の充実強化に努めるものとする。

2 議会は,議案の審査又は市長等の事務に関する調査を行うため,学識経験を有する者等に対し,必要な専門的事項に関する調査を行わせることができる。

(政務活動費)
第18条 会派又は議員は,政務活動費を有効に活用し,積極的に調査研究及び政策提言を行うものとする。

2 会派又は議員は,政務活動費の使途基準に従い適正に執行し,常に市民に対して使途の説明責任を負うものとする。

第7章 議員の政治倫理

(議員の政治倫理)
第19条 議員は,市民の厳粛な信託を受けた者であることを認識し,市民全体の奉仕者として人格と倫理の向上に努め,いやしくもその地位による影響力を不正に行使して自己の利益を図ることのないよう,市民の代表として良心と責任感を持って,市政に対する市民の信頼に応えるとともに,清廉かつ公正で,開かれた民主的な市政の発展に寄与することに専念しなければならない。

第8章 議会事務局等の体制整備

(議会事務局)
第20条 議会は,円滑かつ効率的な議会運営と議会活動の充実を図るため,議会事務局の調査及び法制機能の充実並びに議会事務局組織体制の整備に努めるものとする。

(議会図書室)
第21条 議会は,議員の調査研究に資するため,議会図書室の充実に努めるとともに,これを適正に管理し,その有効活用を図るものとする。

第9章 最高規範性及び見直し手続

(最高規範性)
第22条 この条例は,議会の最高規範であり,議会に関する他の条例,規則等を解釈し,又は制定し,若しくは改廃する場合においては,この条例との整合を図るものとする。

2 議会は,議員にこの条例の理念を浸透させるため,一般選挙を経た任期開始後速やかに,新たな議員に対し,この条例に関する研修を行わなければならない。

(条例の見直し)
第23条 議会は,この条例の施行後,常に市民の意見,社会情勢の変化等を勘案し,必要に応じて検討を加え,その結果に基づき条例を見直すものとする。

附 則

この条例は,平成25年4月1日から施行する。